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薬物疑惑のネリVS現役続行の前王者山中、因縁の再戦なるか!?

06Nov2017

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8月15日にWBC世界バンタム級王者山中慎介(帝拳)に4回TKO勝ちで連続防衛記録を12回でストップし、世界王者となったルイス・ネリ(メキシコ)。しかし、試合後の8月22日に、7月27日に行われたWADA(世界アンチ・ドーピング機関)による事前ドーピング検査の結果が判明し、禁止物質のリストに含まれているジルパテロールの陽性反応が検出され、事態は混乱に陥った。

ネリ陣営の言い訳は、山中戦へのトレーニングの一環で、大量の牛肉やビーフコンソメを食していたところ、偶然にも汚染牛肉経由で摂取してしまったというもの。

10月31日、ようやくWBCは公式サイトで声明を発表。これまでドーピングに対して厳しい処分を科してきたWBCゆえ、最悪なら無効試合や王座剥奪、少なくとも出場停止処分が科されても不思議ではない状況だったが、裁定は一切の処分なし。山中とのダイレクトリマッチの指示だった。

理由として、陽性反応後に日本で3度行われた追加検査の結果がすべて陰性だったことなどをあげ、陽性反応の原因が、禁止物質ジルパテロールを意図的に摂取した結果と十分な確信を持って決定することはできない、薬物反応は汚染された食品の消費によるものであると、疑わしきは罰せずとの結論だった。

だが、WBCマウリシオ・スライマン会長が公式発表に先立って、「ドーピングはなかったと確信している。ネリは潔癖な若者だ」と、BoxingScene.comに“非公式”に発言(10月24日記事)していることもあり、メキシコに本部を置くWBCが、地元メキシコの22歳のニューヒーローに寛大な処分を下したとの反応が、世界のボクシングファンには多い。

WBCの公式発表を受けて、前王者の山中は11月1日に「再戦指令が出たので、単純にネリに負けているので再戦したい」「このままじゃ終われない」と現役続行宣言。所属ジムの本田会長も「法外な値段を吹っ掛けられない限り、ネリとの再戦を狙う」とバックアップを明言している。

そしてWBCからお咎めなしのネリは、11月4日(日本時間5日)に故郷のメキシコ・ティファナで同級8位のアーサー・ビラヌエバ(フィリピン)と予定通りノンタイトル戦を行っている。試合直前にWBCから処分なしの公式発表があったのは果たして偶然か。

ビラヌエバは33戦31勝17KO2敗の28歳。15年7月にIBFスーパーフライ級王座決定戦でマックジョー・アローヨ(プエルトリコ)に負傷判定負けと、今年4月にWBO世界バンタム級挑戦者決定戦でゾラニ・テテ(南アフリカ)と、世界戦線で敗れただけの実力者。本来はタイトル防衛戦にしたかったのが本音だろう。

試合は、初回から得意の左右フック系パンチを振り回し、優勢に試合を進めていたネリだったが、4回に単調なスイングにタイミングよく右を合わされダウンを奪われる苦戦ぶり。続く5回に早くも回復して攻勢に転じたのはトレーニングの賜物か、今回も何らかの効力か。6回にネリがラッシュをかけると、フィリピン人にダメージはなくともレフェリーが早々に試合をストップしてくれるツーカーの優遇ぶり。

山中戦での鬼神のような強さはなかったが、ラッシュの回転力は相変わらず脅威。だが、弧を描く軌道ゆえ、最短距離で伸びるカウンターに弱い欠点も顕わになった。

ネリ自身から次戦は来年3月頃、報酬次第では山中との再戦にも応じる、と上からの発言もあり、ギャラの折り合いさえつけば、「山中VSネリⅡ」への障壁は低そうだ。

もし再戦が実現すれば、前回以上に注目されそうなのは、ネリのコンディション。過去の試合映像と比べても、前回の山中戦でのパンプアップされた肉体や、山中の左に耐えたタフさは出来過ぎに見えたが、世界タイトルへの執念と好意的に捉えたい。ドーピングへの監視が強まる中、前回同様のパフォーマンスを披露して、王座防衛できれば本物の王者と言えるだろう。

サウスポーの好戦的ファイターは、山中には決して相性が良い相手ではないが、6年近く守り続けた緑のベルトに愛着があるのは無理からぬこと。果たして再戦は実現するだろうか。

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