Boxing Times

news

PFP1位の2階級制覇王者アンドレ・ウォードが33歳で引退。その功績をふり返る

29Sep2017



WBA・IBF・WBOライトヘビー級統一王者で、リング誌認定のPFP(パウンド・フォー・パウンド)1位のアンドレ・ウォード(アメリカ)が21日(日本時間22日)に自身の公式サイトで、「もはやボクシングの厳しい戦いに躰が耐えられず、情熱を持てなくなった」と33歳で現役引退を発表した。あらためて、彼が残した功績をふり返ってみたい。

84年生まれのウォードは04年アテネ五輪に20歳で出場し、ライトヘビー級の金メダルを獲得、現時点では米国人ボクサー最後の金メダリスト。同年12月にプロデビュー。

キャリア初期は慎重に経験を積み重ね、08年6月に16戦目でWBO傘下のNABO北米スーパーミドル級王座を初戴冠(V2)。18戦目でWBC傘下のNABF北米同級王座を獲得(V1)。

地域王者時代は注目を集める存在ではなかったが、09年に始まったスーパーミドル級最強を決めるトーナメント「スーパーシックス・ワールドボクシング」に、世界王者らに交じって大抜擢され、ようやく日の目を浴びる。

09年11月、「スーパーシックス」1戦目でWBA世界同級スーパー王者のミッケル・ケスラー(デンマーク)に11回負傷判定勝ちで世界タイトルを初戴冠。10年6月、同2戦目でアラン・グリーン(アメリカ)に判定勝ちでV1、同年11月、後のWBC世界同級王者サキオ・ビカ(オーストラリア)に判定勝ちでV2。

11年5月、「スーパーシックス」準決勝で元IBF世界ミドル級王者アルツール・アブラハム(ドイツ)に判定勝ちでV3。同決勝でWBC同級王者カール・フロッチ(イギリス)に判定勝ちでWBA&WBC王座の統一に成功。スーパーミドル級の戦線のトップに躍り出た。

だが、負傷やプロモーターとの契約問題もあり、12年、13年と各1試合したのみで、14年は試合できず。ビッグスターへの道目前で絶好の機会を逃してしまう。

15年に契約問題がようやく決着し、ジェイ・Z率いるロック・ネイション・スポーツに移籍し、同年6月に戦線復帰。16年3月、サリバン・バレラ(キューバ)を下してIBF世界ライトヘビー級挑戦権を得る。

同年11月、3団体統一王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)との無敗対決ではダウンを喫し、物議を醸す判定ながらも勝利し、WBA・IBF・WBO世界ライトヘビー級統一王者となり、2階級制覇王者。今年6月のコバレフとのダイレクトリマッチに8回TKO勝ちで退けたのが、最後の試合となった。

重量級では群を抜くテクニックとスピードを誇る、玄人好みの技巧派のファイトスタイル。スリルに欠けるとの意見もあり、世界的スターとはならなかった。とはいえ、2010年代を代表する重量級スターとして、ファンの記憶に残るボクサーであるのは間違いない。

出世の舞台となった「スーパーシックス」での4試合、コバレフとの再戦以外の世界タイトルマッチがすべて判定勝ちと、インパクトを残せなかったこともあるが、20代後半のキャリアピークを迎える貴重な時期をケガと契約問題で棒に振ったのが惜しかった。

億単位のファイトマネーが望めるPPV放送はコバレフとの2戦のみ。ちなみに、同じく技巧派ながら、リング外での言動で注目を集め続けたフロイド・メイウェザー・ジュニアのPPV放送は16試合もある。

コバレフとの2戦で再び注目を集め、更に階級を上げてのビッグマッチの噂もあった中での引退宣言からは、大金よりも、家族と自身の人生を選んだウォードというボクサーの人間性、本質がのぞき見える。49戦全勝無敗で一度は引退しながらも、金のために復帰し、1試合で30億円以上を稼ぐビジネスマンとは対照的だ。

奇しくもウォードが引退を発表した当日、同い年の仇敵コバレフは復帰を宣言。「彼を倒せないのは残念。でも、退屈なファイトがなくなるので、ボクシング界にとっては良いこと」と、悔しさ混じりに皮肉を込めたコメントを残している。

生涯戦績は32戦全勝16KO。33歳での早すぎる引退だが、S.O.G.(Son of God:神の子)との異名を持ち、敬虔なクリスチャンでもあるウォード、リング復帰の可能性は低そうだ。

Recent News

Corner

Blog